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第二バチカン公会議

 カトリックとは、ギリシャ語で「普遍的な」「世界的な」「公の」という意味をもつ形容詞「カトリコス」に由来します。古典ギリシャ語では、「特殊」の反対を意味し、「すべてに該当する」という意味で用いられていました。最初にこの語を使ったのはアンティオキアの聖イグナチオで、107年頃、スミルナの教会に宛てて書き送った手紙の中で
「キリストが、全(カトリック)教会の頭である」と記しています。

 こうして、全地方に存在するキリスト教の教会全体を指して「カトリック教会」と言われるようになりました。しかし、本来1つであるはずのキリストの教会は、11世紀に、ローマ教皇の首位権を認めない東方諸教会と、16世紀には、プロテスタント諸教会、聖公会と分裂してしまいました。そして、「カトリック教会」とはローマ教皇を首長とする「ローマ・カトリック教会」だけを指すようになったのです。

 カトリック教会の約2000年間の歴史の中で最も画期的な出来事と言われる第2バチカン公会議は、1962年からローマで開催されました。この会議は、325年の第1ニケア公会議から数えて21回目の公会議となり、教皇ヨハネ23世が「教会の現代化と現代世界への適応」を目指して開催を決定されたのです。

 教皇は開会演説の中で、「カトリック教会内部の一致、カトリック者と他のキリスト者との間の一致、カトリック者とキリスト教以外の人々とを結び合わせる尊敬と善意による一致」を訴えました。ヨハネ23世はその翌年に亡くなりましたが、公会議はパウロ6世教皇によって引き継がれ、1965年に終了しました。その後の2人の教皇が、それまで教皇史になかった「ヨハネ・パウロ」を名乗っているのは、この公会議の精神を受け継ぐことを宣言してのことだったのです。

 第2バチカン公会議では4つの憲章と、9つの教令と3つの宣言が公布されました。『カトリック大事典』によると、公文書の教説は、次のように要約されています。

(1) キリスト中心。
イエスの死と復活という救いの秘儀は、宣教、教理、典礼、霊性、教育等のあらゆる営みの真髄である。

(2) 聖書中心。
信者の一人ひとりが自ら直接、聖書を読み、学び、その教えを生活の場で実行するよう努める。

(3) 典礼の重視。
典礼は神の民の全体が、それぞれの言葉を用いて積極的に行う共同体としての礼拝であり、教会の全活動の頂点である。

(4) 神の民としての教会。
信者は皆、キリストの預言職、祭司職・王職にあずかる「神の子ら」であり、教会の諸活動の主体である。

(5) 司教職の団体性の強調
教皇を囲む司教団は団体として行動する。

(6) 各地域の教会の独自性、各文化独自の価値を尊重。

(7) 教会外の人々への関心。
カトリックから分かれたキリスト教諸教会・教団、キリスト教以外の 諸宗教、すべての人に近づき、彼らと対話・協力し、 全人類の相互理解と一致のために働く。

(8) 貧しい人々、虐げられた人々との連帯。
教会は、権力者の側にくみせず、「小さい人々」の代弁者となる。

(9) 信教の自由の確認

(10) 絶え間ない刷新をうたう将来志向の姿勢。

 第2バチカン公会議から約50年を経た今、わたしたちは改めて公会議の内容を学び、深めていきたいものです。

2015年8月



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