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王であるキリスト

 11月25日は「王であるキリスト」の祭日です。典礼暦最後の主日に「王であるキリスト」を祝い、栄光のうちにキリストが再臨されることを待望しながら1年の暦を閉じ、翌週から新しい典礼暦の始まりである待降節に入ります。

 キリストとは、ヘブライ語のメシア(油を注がれた者、王、救い主の意味)という称号のギリシア語です。イエスは、「わたしの国はこの世には属していない」(ヨハネ18:36)と言われたように、人々が求めたこの世的な意味での王、救い主ではありませんでした。人々のために自分の力を使って、病人を癒やし、悪霊を追い出し、奇跡を行われたイエスは、最後までその力を自分のためにはまったく使われず、自分自身は無力そのものとなられ、十字架を受け入れられました。

 イエスは神の子ですから、十字架の苦しみから自分を救うこともできたでしょう。イエスは、自分を救えないのではなく、自分を救わないことによって人々を救われたのです。十字架から降りないこと、自分の救いにおいて無力であることによって、わたしたちの救い主、王だということを表されました。

 十字架の死に至るまでわたしたちの罪を担い、苦しみを共にしてくださるイエスの中に希望と救いを見て、そのイエスを信じるとき、わたしたちはすでに救われ、永遠のいのちに入っています。わたしたちの救いは、将来のことでも死語のことでもなく、今、神を信頼することによってもたらされるものなのです。

2012年11月



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